Mac OS X+PC-9801エミュレーターでFM音源ツール『みゅあっぷ98』を動かしてみました
こんにちは。
今年は年明けからデジゲー博の準備で超絶テンパっていましたが、とりあえずデジゲー博は終わりました。成功したかどうかはさておいて・・・。
ちょっと趣味の世界に帰ってきました。
MacでFM音源が聞きたい・・・
アラフォープログラマーにとって、PC-8801mkII SR や PC-9801UV などに搭載されていた FM音源は、ファミコンやMSXの8ビット音源と双璧を成す魂の音源です(少なくとも自分には)。自分は大学生くらいのとき、PC-9801DA のFM音源にこころ奪われていました。
最近(といっても5〜10年前からすでに)は昔のPCをソフトウェア的に再現する「エミュレーター」の実用的なものがいくつかあるので、ディスクイメージさえあれば現物に近い音を、Mac や Windows PC で再現できます。いい時代ですね・・・。
というわけで、いま自分が保有している MacBook Pro に、昔自分が使用していた PC-9801 の環境を再現し、FM音源(っぽい音)を鳴らしてみましたので、やったことをまとめてみました。
試した環境
本体: MacBook Pro (13インチ, Late 2013)
OS: Mac OS X 10.11.2 (El Capitan)
CPU: Intel Core i5 2.4GHz
メモリ: 8 GB
また、下記作業中にやむを得ずブートキャンプで起動した Windows 8.1 を使用した部分があります。無念。一度インストールしてしまえば Windows は必要ありません。
Neko Project II Mac OS X 版の導入手順
Neko Project II (for Mac OS X) のダウンロード
以下のページから PC-9801エミュレータである Neko Project II のMac OS X 版がダウンロードできます。
Neko Project II
http://www.yui.ne.jp/np2/
ダウンロードした ZIP ファイルを解凍しておきます。
SDL (Simple DirectMedia Layer) のインストール
SDL (Simple DirectMedia Layer) はオープンソースのクロスプラットフォームマルチメディアライブラリです。これの恩恵で、Neko Project II も Windows/Mac OS/Linux など様々なOS上で動作します。Neko Project II は SDL2 を使用しているようなので、以下の場所からバージョン2.x をダウンロードし、Mac にインストールしておきます。
Simple DirectMedia Layer
https://www.libsdl.org/download-2.0.php
MS-DOSシステムディスク (FD または HDD) イメージの入手
方法1 フロッピーディスクドライブを持つ PC と MS-DOSシステムディスクを使用する
フロッピーディスクドライブを持つPCと、読み込み可能な MS-DOSシステムディスクをお持ちの方は、この方法がいろいろと安全です。
ディスクイメージの作り方はこのページに書かれています。
簡単な導入方法 / ディスクイメージ
http://www.retropc.net/yui/np2help/how2use2.html
作成した *.d88 ファイルは np2sdl.app と同じディレクトリに置くとわかりやすいです。
ここでは msdos.d88 という名前にします。
方法2 フリーの互換DOSを使用する
MS-DOS互換のフリーのDOS(FreeDOS(98)など) がいくつか存在します。それを利用したディスクイメージを公開されている方がいるので、それを使ってもうまくいくかもしれません。
その他の方法
その他の方法は権利的に問題ありそうなので、ここでの説明は省かせていただきます。(^^;
ホストPC上のファイル(20年前のバックアップ)を含んだHDDディスクイメージの作成
ここで、HDDディスクイメージを作成し、そこに昔使用していた環境のバックアップをコピーします。
なんとか Mac OS X 上でいろいろやってみたのですが、どうもうまくいきませんでした。おそらく、Neko Project II の Mac OS X 版のビルドは、ディスク周りの幾つかの機能が正常に動作しないようです。
しかたなく、ディスクイメージ作成ツールとして、Windows版の Neko Project II を使いました。やはりこの辺は Windows が強いです・・・。
Neko Project II (for WinNT) のダウンロード
さきほどのページから Neko Project II の Windows 版をダウンロードします。
Neko Project II
http://www.yui.ne.jp/np2/
ダウンロードしたファイルを解凍します。
空のHDDイメージファイル作成
np2nt.exe を起動します。システムディスクがないと怒られますが、無視してください。
メニューから “Emulate” → “NewDisk…” を選び、HDDディスクイメージファイルを作成します。ここでは SASI の拡張子が hdi のフォーマットを選びました。サイズは20MBくらいで。
名前はここでは newdisk.hdi にしました。
その後エミュレータのメニューから、
- FDD1: msdos.d88
- Harddisk SASI1: newdisk.hdi
にそれぞれ割り当て、エミュレータをリブートします。リブートは メニューの “Emulate” -> “Reset” から行えます。
首尾よく FDD1 (Aドライブ) の MS-DOS が起動したら、newdisk.hdi をフォーマットしてください。システムを転送し、起動可能にしておくと便利です。
ここでは、MS-DOS 5.0 の format コマンドを使いました。
ホストOSからHDDイメージファイルへのファイル転送
フォーマットが完了したら、再度エミュレーターをリブートします。仮想ハードディスクが Cドライブとして認識できたら、ここにホストOS上の、エミュレーターで実行したいプログラムなどをコピーします。
np2tool.zip を解凍し、中の np2tool.d88 を np2nt.exe と同じディレクトリにコピーしておきます。
これをエミュレータのメニューから、
- FDD2: np2tool.d88
に割り当てます。
ここで一度 np2nt.exe を閉じます。すると “font.tmp” と “np2nt.ini” というファイルが生成されているはずです。
このうち np2nt.ini を編集し、以下の2行を追加します。
- hdrvroot=c:\My (※元ファイルが置いてあるホストOS上のディレクトリ)
- hdrv_acc=3
なお、 もう1つのファイル font.tmp は後ほど使います。
再度 np2nt.exe を起動したら、FDD2(Bドライブ) の np2tool.d88 に含まれている “hostdrv” コマンドを実行します。この hostdrv コマンドは、エミュレーターからホストOS上のディスクが見えるようになる魔法のコマンドです。ここではドライブD を指定します。
コマンドが成功すれば、指定したドライブ名で、さきほど np2nt.init で指定したホストOS上のディレクトリ (上記の例では C:\My) が、エミュレーター内のMS-DOS からアクセスできるようになります。すごい!
ここで見えているファイルを、先ほど作成した newdisk.hdi が割り当てられた仮想 HDD にコピーします。
コピーは XCOPY コマンドなどを使ってもいいですし、FD コマンドとかが使えればそれでもよいです。MS-DOS スキルの見せ所です。
Windows でしかできない作業は以上ですので、Mac OS X に戻ります。
Mac OS X に戻り エミュレーター起動
Mac OS X 版の Neko Project II の、np2sdl2.app と同じディレクトリに、Windows 上で作成した以下の2ファイルをコピーします。
- font.tmp
- newdisk.hdi
この状態で、ついに np2.sdl2.app を起動します。長かった・・・。
システムファイルが無いと怒られるので、メニューから(Mac 版の場合、ウインドウを1度クリックするとシステムメニューが現れます)HDD -> SASI1 に newdisk.hdi を割り当てて、再起動します。
うまくいくと、MS-DOS が立ち上がり、さきほどコピーしておいたファイルも見えるはずです!
自分はとりあえず往年のFM音源オーサリングツール『みゅあっぷ98』を立ち上げてみました。
起動の様子(動画)
嬉しかったので、動画を撮ってしまいました!(^^;
まとめ
- PC-9801 エミュレータである Neko Project II の Mac OS X 版は、El Capital 上でも動作した。
- しかし Mac OS X 版は、ディスクイメージ操作関連がうまく動作しなかった。やむを得ず、ディスクイメージ作成の部分は Windows 版に頼らざるをえなかった。ディスクイメージは、1度作ってしまえば、Mac OS X 版上でも問題なく読み書きできた。
- FM音源が Mac で聴けて幸せ。