もう元々これが冥王星だったことにしたらみんな幸せになると思う

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こんにちは。

今朝こんなニュースが飛び込んできました。

太陽系に「第9番惑星」存在か  米チーム発表(AFP=時事) – Yahoo!ニュース 

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何と太陽系にまだ知られていなかった、新たな惑星が存在するのかもしれないというニュースです。なんかロマンがありますね。

しかし新惑星が「第9惑星」だと聞いて不思議な感じがしませんか?

自分はアラフォー世代なのですが、太陽系の惑星といえば「水金地火木土天海冥(すい・きん・ち・か・もく・ど・てん・かい・めい)」と教わりました。もう小さい頃に覚えたので一生忘れそうにないです。

そう我々の世代では「第9惑星」といえば冥王星でしたよね?

(^^;

冥王星「降格」による「冥王星ロス」

そんな中、2006年に国際天文学連合は惑星の定義を見直し、それまで惑星とみなしていた冥王星は「準惑星」に「降格」されてしまいました。というのも、冥王星は他の惑星に比べて極端に小さく、軌道も傾いていたことなどが問題視されていて、それまでの区分だと他の天体(ケレスなど)が惑星ではないことが、うまく説明できなくなっていたようなんですよね。

ですので、今太陽系の惑星は?と言われたら「水金地火木土天海」の8つということなんですよね・・・。

未だに慣れません・・・。

もうおっさんにこれ以上新しいことを覚えさせないでください・・・。

他にも、原子番号92〜94の元素はそれぞれ「ウラン」「ネプツニウム」「プルトニウム」ですが、それぞれ惑星の「ウラノス(天王星)」「ネプチューン(海王星)」「プルートー(冥王星)」からとった名前だったのですが、この元素〜惑星の対応も崩れてしまいました。

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元祖第9惑星「冥王星」
By NASA/JHUAPL/SWRI (solarsystem.nasa.gov) [Public domain], via Wikimedia Commons

また、Wikipedia によると『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』の作者である松本零士先生は「理論的には正しいが、人々が持つ宇宙への夢に対する配慮に欠けた決定である」と発言したそうです。

そう、1930年から2006年まで、76年にもわたって惑星だった冥王星が惑星でなくなったので、いろいろなところに影響が出ているのです。

新しく見つかったやつを「冥王星」だったことにすればみんな幸せ?

 

幸いにして、「冥王星」という名前の付いた惑星が存在しさえすれば、多くの不整合が解決されます。(笑)

  • 「水金地火木土天海冥」は覚え直さないでいい。太陽系の惑星は9個!
  • 原子番号92〜94の並びと、最外殻惑星の並びも復活!
  • 「宇宙戦艦ヤマト」とか「銀河鉄道999」の冥王星の描かれ方はちょっと不明ですが、たぶん大きさとか書かれていないので大丈夫ではないでしょうか。

なので、今回見つかったやつを改めて「冥王星」と呼ぶことにしたらみんな幸せになるような気がするのですがいかがでしょうか?

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 新冥王星(提案)

今までのちょっとサイズが小さかった冥王星は「2016年まで冥王星と呼ばれていた天体」として記録しておきます。

冥王星の発見者には配慮しつつ

まあ本当にそんなことをすると冥王星の発見者クライド・トンボーなどに対する配慮が欠けるような気がとてもします。

そうは言ってもローマ神話で「冥界の王」という2つとないほどに重厚な名前ですので、もしも今回見つかった天体が本当に惑星の定義を満たすのであれば、名前の移行を検討してみても良いかなと思います。

彼が76年間惑星と見なされた天体の発見者であった事実は変わりませんので・・・。

 


それでも新元素に国の名前をつけるべきでない理由 – 「ジャポニウム」について

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こんにちは。

昨日話題になっていた、日本のチームが発見した新元素に「ジャポニウム」という名前がつきそうだというニュースがありました。

いいですね。

日本人としては嬉しいニュースです。しかしその名前が「ジャポニウム」というので少々物議を醸したようです。

「ジャポニウム」に対する反応

このジャポニウムという名前が思い切り「ジャパン」から取られていることで、まっさきに多くのコメントが寄せられたようです。(参考:ツイッター検索「ジャポニウム ナショナリズム」

以下のようなコメントが散見されます。

 

新元素に自分の国の名前つけるって気持ち悪い!

元素に国名を使うのはレイシスト!

 

そう言ったコメントをしている人の中には、おそらく元素命名の前例をあまり知らないような人もいるようなので、それを指摘する感じで、

 

アメリシウムもフランシウムも知らないんですか?

ポロニウムはポーランド、ゲルマニウムはドイツなんです。知らないって恥ずかしい!

 

といったコメントも沢山ありました。

ここまでの流れはまあいいでしょう。

地名が由来になった元素はたくさんあるから問題ない?

しかしちょっと気になったのは、そもそも地名が由来になった元素はこんなにあるぞ!っていうコメントが散見されたことです。

このツイートの地図、

この地図自体は興味深く、面白いのですが、この地図に対する返信など他のツイートで、

「こんなに地名が元になっている元素があるのに、国の名前をつけるのは気持ち悪いって言っている人は無知だ!」

というのがありました。

それはどうなんでしょうか?

地名と国名では意味的に全然異なります。

地名は客観的に地理的な位置を示しているだけだが、国名は民族・文化・歴史まで暗示してしまう

地名を元にして命名された元素の1つにマグネシウムがあります。マグネシウムはギリシャの「マグニシア」という地名から命名されたそうですが、これは産地の名前から取られています。

 

マグニシアで産出される鉱石の中から発見されたから、マグネシウム。

これは自然だと思います。

 

しかし、例えばキュリー夫人が発見したポロニウムの命名に関して言えば、発見された1898年当時、キュリー夫人の祖国ポーランドはロシア帝国の支配下にありました。夫人は祖国解放への願いを込めて、自身の発見した新元素に祖国の国名を元にした「ポロニウム」という名前をつけました。(ポロニウム – Wikipedia)

 

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「ポロニウムの名付け親」キュリー夫人
Marie Curie 1903” by Nobel foundation – http://nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/1903/marie-curie-bio.html. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

 

何だかこれは美談に聞こえますが、冷静に考えると、これは科学を政治的に利用しています。

ポーランド人はさぞかしナショナリズムを掻き立てられたことでしょう。

「ポーランド人はこんなに優秀なんだ!」

「打倒ロシア帝国!」

という叫びが聞こえてきそうです。

中国が新元素に「チャイニウム」と言う名前を提案する未来しか見えない

「ジャポニウム」と言う名前が認められれば、アジア初の新元素発見となるようです。誇らしいですね。

しかしこの名前にすると、機嫌が悪くなりそうな国がありそうです。

おそらく中国、韓国あたりは「元素に自国の名前をつけるとは何事だ!」と感じるでしょう。口に出さないまでも。

韓国は言うだけなのでよいとして、最近の中国の発展はあなどれないので、日本に対抗して加速器に力を入れ、新元素発見に巨額の予算を投入したりするかもしれません。

そして発見した元素に自国の名前を冠した「チャイニウム」などを提案してくるでしょう。

周期表上での陣取り合戦が始まるのです。

欧米がやってるんだからいいんだ!と言うわけではない

と言うわけで、個人的な意見ではありますが、「ポロニウム、アメリシウム、フランシウムとか、欧米がやっているから日本もやっていいんだ!」というのは危険です。

自分はキュリー夫人の伝記などを多数読み、その偉業を尊敬していますが、新元素にその元素の産地、特徴とまったく関連のない祖国の名前をつけたのは良くなかったと思います。

アメリシウムに関しては、アメリカで初めて合成されたことを考えると、まだ理解もできます。しかしアメリカが嫌いな人にとって、その名前はあまり気分の良いものではないかもしれません。

国名を元素名にするのは、科学は政治・宗教的な要素とは切り離すべきだと言う科学の精神に反する恐れがあると思います。

そうは言っても、ジャポニウムの場合「日本で初めて確認された元素」なので、理解できる範囲ではありますが・・・。

ではどうすればいいのか

対案のない反論は非建設的なので、対案をだしておきます。

そもそも昨日ニュースになって大々的に取り上げられましたが、この新元素が発見されたとされるのは2004年ですので、すでにいくつも命名案はだされています。(ウンウントリウム – Wikipedia)

例えば理化学研究所の名前を元にした「リケニウム」、研究所の所在地・和光市にちなむ「ワコウム」などがあったようです。

そのなかで、個人的には日本に初めて加速器を持ち込んだ仁科芳雄にちなんだ「ニシニウム」を推します。(注:Wikipedia には 「ニシナニウム」と書かれてますが “Nishina” の語尾を “ium” にするので、ニシウムでしょう)

日本人初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹の名前にちなむ案もあったようですが、湯川秀樹は十分評価されているからもういいんじゃないですかね。

乱文しつれいいたしました。


[世界を変えた書物]展を見に行ってきました

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こんにちは。

現在大阪で開催中の[世界を変えた書物]展を、是が非でも見たくて東京から大阪まで見に行ってしまいました。しかし・・・、行って大正解でした。やばすぎる・・・。

特に科学史好きの自分にとっては当たりすぎの展示会でした・・・。

あまりにも良かったので紹介させてください・・・!

会場の様子

11/20(金) 会場のグランドフロント大阪 北館にAM10時半ごろ到着しました。平日の昼間だというのに、11時の開場に合わせてすでに20人くらい入場していました。マニアックなテーマの割には結構な盛況ぶり・・・。

古書の表紙を思わせる趣のある入り口をくぐると、まずちょっと狭めの部屋に15点くらいの展示があります。そこを過ぎるとメインの広い展示場があり、真ん中に「地の森のシンボルモニュメント」と題された展示全体のつながりを表現した立体的な展示物がありました。

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これを見るだけで今回の展示が自分のツボだということがわかります。やばい。

この展示会の素晴らしいところは「フラッシュをたいたり接写をしない限り撮影OK」と言うところです。そうでなかったらわざわざ東京(正確には埼玉ですが)から駆けつけなかったかもしれません。

特に気になった展示

展示数は100点以上に上るのですが、そのうち半分以上が気になりました。(詳しい展示内容については公式ページを見てみてください。)

歴史、特に科学史好きにとってはとんでもない展示内容です。

歴史の授業などで「著者名」と「書名」をセットで覚えただけで、内容について何も知らない本というのがたくさんあると思いますが、その「名前だけ知っている」「聞いたことある」本がすごい確率で登場します。

気になる本ばかりなのですが、特に気になった本を紹介します

コペルニクス「天球の回転について」

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地動説が初めて大々的に公表された書籍です。

左ページの図に太陽が中心で土星(当時発見されていた最も外側の惑星は土星だった)までの軌道が描かれています。ラテン語なのでほとんど読めませんが太陽は「SOL」と書かれていたり、なんとなく伝わってくるので感動しました。

ガリレオ「天文対話」

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地動説を広め、宗教裁判にかけられたガリレオ・ガリレイの有名な著書です。今でも日本語版が岩波文庫から販売されているのは以前「学習漫画とか大人が読んだ方が数倍面白い」で紹介した通り。

この表紙の挿絵、見覚えがある方も多いのではないでしょうか。

ニュートン「プリンキピア」

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正直、これを見るために行ったようなものです。

万有引力の発見で歴史に名を残すアイザック・ニュートンの著作「プリンキピア」の初版本です。2冊あるのは、上のものがイギリス国内向けで下のものがヨーロッパ向けとのことで、微妙に違いました。

表紙に燦然(さんぜん)と輝く “NEWTON” の文字。

近代科学革命の重大な一歩であるニュートン力学はこの書籍の形で世に出たと思うと感慨深いです。

ライプニッツ「極大と極小に関する新しい方法」

 

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微積分に関してニュートンのライバルというべき、ライプニッツが自身の理論を発表した著作のようです。

開いてあるページに dx, dy などの記号が見えるのですが、現在でも使用されるこの記号はライプニッツがこの本で使い始めたそうです。

ニュートンの名声はあまりにも高いのですが、微積分の記号に関してはライプニッツの勝利だと言ってよさそうです。

デカルト「方法序説」

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開かれているページではわかりませんが、「コギート エルゴ スム(我思うゆえに我あり)」と書かれた書籍がこれとのこと。また現在でももっともよく使われる座標系である、いわゆるデカルト座標系の考え方が示されたのもこの書籍らしいです。

すみません。読んだことはありませんが・・・。

感想

展示会の名前からはちょっとわかりませんでしたが、科学・技術の歴史に特化された内容になっていますので、その分野が好きな方には全力で勧めたい内容でした。

本当に入場無料でよいのか、心配になってしまいました。理解のあるスポンサーさんがついているんでしょうか・・・。

2015/11/23(月・祝) までの開催なので、大阪近辺にお住いの歴史好きの方は覗いてみてはいかがでしょうか?

展示会情報

【名称】[世界を変えた書物]展
【開催期間 】2015年11月6日(金)〜23日(月・祝)
【開催地】グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル イベント ラボ
【開場時間】午前11時〜午後8時(入場は閉場の30分前まで)
【料金】無料
【公式ページ】http://www.kanazawa-it.ac.jp/shomotu


組立式35倍の望遠鏡+iPhone6で月の写真撮ってみました

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こんにちは。

科学史をテーマにしてゲームを作ったりしていますが、調査と称していろいろな分野のサイトを覗いています。

先日たまたまこんなサイトを見つけました。

星の手帖社
http://business3.plala.or.jp/starbook/

 

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35倍の天体望遠鏡・・・、3千円・・・。

天体望遠鏡というと、何万円もするマニア向けのものだと思っていましたが、3千円くらいで35倍とか言う結構すごそうなのが買えるとは知りませんでした。

というわけで、気づいたらポチっていました。

組み立て

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届いてからしばらく放置していたのですが、昨日やっとその気になったので開封!

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レンズが4枚入っていていい感じ・・・。

尚、1枚に見えるレンズも、実際には2枚のレンズが貼り合わされてできている「アクロマートレンズ」(色収差低減レンズ)とのことです。アクロマートレンズは Wikipedia によると1729年ごろ発明されたものなので、ニュートンの時代にはなかったものです。そんな優れものがこんな安価なキットに含まれているとはいい時代になりました・・・。

組立は簡単です。工具もいらない。接着剤もいらない。

「10分で完成!」は看板に偽りなしです。

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最後にシールを貼って完成!

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三脚に乗せると結構それっぽい!

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これで3,056円は安い!!

ひとつ注意点があります。カメラ用でもなんでもよいのですが、三脚は必須です三脚がないと手ぶれでまともに観測できません。三脚がない方は、2千円くらいのやつでいいので一緒に買いましょう。

観測

さっそく自宅のベランダに出て観測しました。

この日は2015年10月2日、場所はさいたま市某所です。

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おお、結構よく見える!

せっかくだから iPhone6 で写真とれるかな〜と思い、特に固定などせず接眼レンズのところに iPhone 持って行ってパシャパシャ撮ってみました。

一番きれいに撮れてたのがこれ!

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クレーターもしっかりと確認できますね!

4日前が「中秋の名月」だったので、満月に近いかなあ〜と思ったんですけど、すでに結構欠けていました。月の満ち欠けも速いんですね・・・。

満月の時に撮ればよかった・・・。

しかしこれは癖になりそう!

「倒立像」について

尚、この望遠鏡は「倒立像」です。上下左右逆さまに見えています。(逆さまにならない「正立像」の望遠鏡は、構造が少し複雑になるので少し高級品になります。)

上下は逆さまになるのはわかりやすいですが、左右はどうなの?とちょっとわかっていませんでしたが、ガソリンスタンドを見てみてわかりました。

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ちょっと写真では見えにくいですが、「セルフ」と読めますよね。鏡像になっていないということは、上下だけでなく左右も逆になっているということですね。180度回転させれば日常的に見ている像になります。

感想

たったの3,056円(三脚お持ちでない方は+2,000円) でここまで見える望遠鏡が買えるとは知りませんでした。買って大正解。

iPhone のカメラを接眼レンズのところに持って行ったら結構きれいな写真が撮れたのも驚きです。専用の器具とか、画質にこだわらなければとりあえず必要なさそう。

説明書きによると「土星の輪の存在が確認できる」そうなので、天気の良い日に挑戦してみたいと思います!

 


中国・天津の爆発と核爆発のエネルギーを比較してみた

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こんにちは。

中国・天津の爆発事故はものすごい規模だったようなのですが、核爆発と比較してどの程度だったのか、疑問に思ったので調べてみました。

中国・天津の爆発事故

 

2015年8月12日に発生した中国・天津の爆発事故は、10km先でも衝撃を感じるなど、ものすごい爆発だったようです。

ネット上にアップされた動画などを見ると特に大きかった2回目の爆発ではキノコ雲ができているのがわかります。

 

(※2015年8月21日更新:リンク先が消えていたので別の動画に変更)

 

キノコ雲と聞くと思い出されるのが核爆弾だと思いますが、そんなこともあって、ネット上では「天津の爆発は核爆発だったのではないか?」という人まで出てきています。

TNT換算のエネルギー

 

核爆発のわけないと思いつつ、天津の爆発と核爆弾のエネルギーを比較してみたところ、やはりぜんぜん匹敵していないことがわかりました。

中国・天津の大爆発、死者44人に 威力「TNT24トン分」 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News http://www.afpbb.com/articles/-/3057266

中国・天津の港湾で爆発、13人死亡 300人負傷か  :日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040003_T10C15A8000000

 

これらのサイトによると、天津の爆発の「威力はTNT火薬24トン分」「半径2kmの範囲で窓ガラスが割れた」ということです。

それに対して、Wikipediaによると、広島型原爆の威力はTNT火薬15,000トン分と推定されているそうです。

15,000 ÷ 24 = 625

ですので、広島型原爆は天津の爆発事故の 625倍の威力(エネルギー)があったと推定されているということです。

核爆発との比較を図にしてみた

 

数字で言われてもぴんときませんので、図にしたものが以下になります。

 

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ここで、爆発のエネルギーはどちらの場合も同じ形状(半球形)で広がるとざっくり仮定しました。

そうすると、エネルギーが625倍ですので、半球の体積が625倍になる半径は、625の1/3乗=約8.55倍になります。

天津の爆発で「2kmさきまで窓ガラスが割れた」とすると、広島型原爆では17.1km離れていても、それぐらいの衝撃があった可能性が有るということになります。

参考までに Google Mapで測ってみたところ、

2 km というと新宿駅から原宿駅くらいの距離ですが、
17.1 kmというと新宿駅から川崎駅くらいの距離でした。

 

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つまり、天津の爆発と同程度の爆発が新宿駅で発生したら、原宿駅付近の窓ガラスが割れるかもしれないと言えます。

まとめ

 

  • 天津の爆発はものすごい規模だった。新宿駅で発生したら、原宿駅付近の窓ガラスが割れるほど
  • しかし核兵器の威力とは比較にならない。広島型原爆と比較しても高々625分の1のエネルギー
  • エネルギーが625倍だと、条件に大きく左右されるが、被害の到達距離は8.55倍程度になるはず

補足

 

これはあくまで爆発のエネルギーだけの比較であって、有害物質や放射性物質による被害はまったく検討していません。

天津の有害物質による被害はリアルタイムで進行しており、日本にまで到達するという噂もあるので、続報が気になります。

 


遊びながら核兵器の作り方が学べてしまうボードゲームがやばい

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こんばんは。

先日 Amazon で “The Manhattan Project” (マンハッタン計画)とかいうやばいボードゲーム見つけたので紹介します。

 

アメリカのAmazonだったんですけど、日本からでもポチれるようだったので、思わずポチってしまいました。

 

【2015年12月22日 追記:日本のAmazon でも売っていました!】

 

箱はこんな感じ。

 

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防護服着てる人とかいるし、放射性物質のマークとあってかなり危険なニオイがします。

 

説明書はこんな感じ。

 

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いきなりのキノコ雲!!!

・・・なんかいろいろ大丈夫なのかな?

さすがにちょっと心配になってきました。

 

説明書に従ってセットアップをして、早速ゲームスタート!

 

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今回は2人で赤軍と青軍(ファ◯コンウォーズ?)を担当する事にしました。ちなみに5人まであそべます。

細かいゲームのルールについてはオフィシャルサイトを見ていただくとして、ここでは核兵器の開発過程の表現に注目していきます。

 

まずは鉱山カードを使って天然ウラン(イエローケーキ)をゲットします。

 

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付属のイエローケーキチップがいい感じで、やばいです。

放射線でてないよね・・・?

 

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ちなみに本物のイエローケーキはこんな感じ。色は不純物の混ざり具合などで結構変わるそうです。

天然ウラン – Wikipedia

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ウランをゲットしたら、濃縮工場(Enrichment Plan)で濃縮ウランにするか、原子炉(Reactor)でプルトニウムに転換します!やばい!

 

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なお、ウランとプルトニウムのチップは無く、ボード上のゲージにマーカーを移動させてカウントします。

ウランかプルトニウムがそろったら、兵器のデザインを選択します。

すでにいろいろなデザインがカードになっていて、そこから選びます。

 

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赤っぽい背景のものがウラン型、青っぽい背景のものが、プルトニウム型です。

 

ウラン型は、実験の必要が無いのですが、プルトニウム型は、実験をすると、その爆弾自体は消費してしまうのですが、以後作成されるプルトニウム型爆弾のポイントが大幅に加算されます。

ですので、プルトニウム型の爆弾が2つくらいできたら、1つは実験で使ってしまいましょう。

 

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このキノコ雲カードで6ポイントゲットです。

 

ゲームは、最初に所定のポイント(兵器を完成させたり、実験したり、爆撃機に搭載したりすると得られる)を得たプレイヤーが勝利となります。(二人プレイの場合は70ポイント先取)

 

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さすがに相手に爆弾を使用するという表現はなく、あくまで「抑止力」としての開発になっております。

大まかな流れは以上のような感じです。

 

ゲームとしては、他にも爆撃機で相手の施設を破壊したり、スパイを送り込んだり、様々な要素があるのですが、ここでは割愛させていただきます。

自分は物理学科の出身なので、興味もあって実際のマンハッタン計画に関する本などを複数読んだりしているのですが、このゲームはその辺りの史実を非常に巧みに抽象化して、まとめていました。よくできていると思います。

 

しかし買ったはいいのですけど、一緒に遊んでくれる人がいなくて、実際には1度しかプレイできてません!興味のある方はご連絡ください!

(^^;

 

 


キュリー夫人がラジウムを取り出した手順

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こんにちは。

先日キュリー夫人を題材にしたゲーム『ラジウム・クリッカー』(iOS版Android版ブラウザ版を公開したのですが、その際に夫人が実際にどんな業績でここまで有名になったのか調べました。

詳しく調べた割にはゲームに生かせたのは本当にほんの一部なので恐縮ですが、せっかくなのでまとめてみました。

※化学は正直専門外なので、詳細については自信のない部分があります。記述に不正確な点などがあればご指摘等いただければ嬉しいです。
※1943年に公開された映画『キュリー夫人』のスクリーンショットを使用しています。映画公開から70年以上経過しているので権利的な問題はないはずですが、問題あればご指摘ください。

背景

1898年当時、ウランとトリウムが放射性を持つことは知られていましたが、キュリー夫妻はウラン鉱石の1つであるピッチブレンドが、ウラン単体よりも強い放射性を持つことに気づきました。そこでピッチブレンドには「未知の元素が含まれており、その元素は強い放射性を持つ」との仮説を発表しました。しかし学会の見解は、

新元素ならばその原子量が明らかでなければならないと考えていた。そのためには純粋な新元素の塊を得なければならない。
出展 マリ・キュリー – Wikipedia

というものでした。ここから、夫妻の「ラジウムの分離作業」が始まります。

原料の調達

ピッチブレンドは、ウランを含んでおり比較的高価で、さらに夫妻はピッチブレンドにほんのわずかしか含まれない物質を分離しようとしていたので、大量のピッチブレンドが必要でした。

必要な量(数トン)のピッチブレンドは高価で、研究費から捻出することは不可能だったので、しかたなくボヘミアの鉱山でウランを分離した後に廃棄されていた残渣(のこりかす)を使用することにしました。残渣であれば無償で譲り受けることができました。

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分離工程

鉱石の粉砕

後の化学的処理の準備として、鉱石に含まれる各成分が露出するように原料を細かく砕きます。夫妻が入手した残渣の場合、この行程はすでに実施済みでした。

硫酸によるウランの抽出

ピッチブレンドの主な成分である酸化ウランを、硫酸で溶かし出します(抽出)。コーヒー豆を細かく砕いて、お湯でコーヒーを抽出するのに似ています。夫妻が入手した残渣の場合、この行程はすでに実施済みでした。

苛性ソーダによる煮沸処理(硫酸成分の除去)

ここから先が、夫妻の行った作業です。

まずピッチブレンド鉱石からウランを抽出する際についてしまった硫酸成分を除去する必要があります。(ラジウムなどのアルカリ土類金属と硫酸の化合物は、常温では酸にもアルカリにもほとんど溶けないため)

硫化物を、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)と煮沸することによって希塩酸に溶解する形に変えます。

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水による洗浄(水溶性不純物の除去)

全行程を通して何度も行われていたようなのですが、ラジウムが水に溶けない状態の際、しばしば徹底的に水による洗浄が行われます。これにより、水に溶ける成分(例えばマグネシウムの硫化物など)が除去されます。

全行程に対して言えることですが、ある分離行程1回で100%完全に分離できるとは限りません。その場合は必要に応じて同じ行程を(時にはさかのぼって)何度も実行する必要があります。

アルカリによる洗浄(ケイ素、アルミナの除去)

水による洗浄では除去できない一部の要素(ケイ素、アルミナ等)は、「アルカリによる洗浄」によって除去します。水で洗っても落ちない汚れを石鹸水で洗い流すのに似ています。

希塩酸による溶解(銀、鉛、ビスマス等の除去)

ラジウム塩はここで希塩酸に溶けるため、
飼料をとかし、濾過します。溶け残ったものは除去されます。

炭酸ソーダによる中和(カルシウム、バリウム、ラジウムの分離)

希塩酸の溶液に炭酸ソーダを加えて煮沸することで、アルカリ土類金属(カルシウム、バリウム、ラジウム)の炭酸化合物が生成されます。

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ここまでの処理で、ほぼカルシウムバリウムラジウムの3成分の混合物にまで絞れてきているはずです。

強塩酸によるカルシウムの除去

アルカリ土類金属であるカルシウム・バリウム・ラジウムは性質がよく似ているため、ここまでの行程では分離されていません。

ある条件のもとでは、塩化カルシウムは強塩酸に溶けますが、塩化バリウムと塩化ラジウムは溶けません。その性質を利用し、カルシウムを除去します。

分別結晶法によるバリウムの除去

最後に塩化バリウム塩化ラジウムの分離ですが、結晶化する速さは軽い元素の方が速いという性質があるので、その性質を利用しました。

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塩酸の濃度により、バリウムやラジウムが結晶化するので、溶液の結晶化した部分から溶液を作ると、ラジウムの濃度が低くなっていくので、ラジウムの濃度がほぼ0になった溶液は廃棄する、という作業を繰り返したものと思われます。

夫妻はこの分別結晶によるバリウムとラジウムの分離だけで数年費やしたそうです。

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ゲームに・・してみた・・・?

このキュリー夫妻の苦労を少しでも追体験できるゲームを作ってみたい・・・』と思って作成してみたのが前述の『ラジウム・クリッカー』だったのですが、ただ単純にクリックするだけの単純作業が辛いだけのネタゲーになってしまいました・・。

 

screen568x568『ラジウム・クリッカー』(iOS版Android版ブラウザ版

以前タマゴをクリックするだけのゲームが流行ったので、その流れで流行るかも、って思ったんですけど、流行らなかったですね。

最後に

軽い気持ちで調べ始めたのですが、自分の化学的な基礎のなさや資料の少なさもあり、正直いまだに完全には理解できていない気がしてます。まずは高校時代の化学から復習しなおそうかと真剣に考えてます・・・。

参考文献

 


学習漫画とか大人が読んだ方が数倍面白い

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こんにちは。

先日 Amazon で「ニュートン」と「ガリレオ」の学習漫画をポチってしまいました。こんなの店頭では絶対に衝動買いしないので、Amazon の新規顧客開拓力はすごいです。

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もともと「キュリー夫人」と「アインシュタイン」は持っていたので、この集英社の世界の伝記の物理学者系は制覇ですかね。(「ノーベル」「エジソン」とかは微妙なところ)

怒られない程度に中身を紹介します。

 

まずニュートンのほうから。

有名な、りんごが落ちるのを見て、万有引力の法則を着想するシーン。

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「ニュートンと言えばりんご」なのは小学生にも浸透しているかもしれませんが、この月がりんごと同じように地球に向かって落ちているという考え方は、正直、小学生には理解できません。

このあたり、高校卒業後くらいに読むと「なるほど」と思えるのですが、残念ながらそのころには学習漫画とか読まなくなっている人が多いです。

次にニュートンの理論をまとめた本「プリンキピア」出版のために、ハレーすい星で有名なエドモンド・ハレーが奔走しているシーン。

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小学生が「ふーん」と読み飛ばすであろうこの何気ないページに、ものすごい要素が詰め込まれています。

  • フックがニュートンの発見を、自分のアイデアを使っていると主張していたこと
  • ハレーがニュートンとフックの間と取り持ってなんとかことを収めたこと
  • 出版費用は資産家のハレーが肩代わりしたこと
  • 王立協会の事務局長だったハレーが、無給だったこと

自分はニュートンについてかなり調べたことがあるので、この漫画を監修した先生もよく調べているのがよくわかります。

小学生だけに読ませておくのはもったいない!

 

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つづいてガリレオのほう。

自分はガリレオについてはあまり知らなかったので、これは驚きの連続でした。

まず、少年ガリレオが、アリストテレスと盲信する先生に質問するシーン。

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当時の人々が1800年前に書かれた本の内容を、自分で確かめもせずに信じ続けていた態度に疑問をもつ姿が格好良いです。

つぎに、ガリレオが当時発明されたばかりの「望遠鏡」を初めて空に向けて観測を始めたころの描写。

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「そうか、きのうまでは木星のむこう側にかくれていたにちがいない!」

 

地動説を裏付ける事実に次々に気づいていくガリレオ。

当時彼がどんな思いで観測を続けていたのか・・・。思いを馳せて、感動して泣きました。(年をとると涙腺がゆるくて・・・)

 

小学生は絶対、これ読んでも泣きませんよ。

そして宗教裁判。

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ガリレオは現実的な人なので、死刑を避けるために地動説について宣伝することをやめると誓います。

 

しかし宗教裁判のあともこりないガリレオwwww

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このとき書かれた「天文対話」という本が、ローマ法王庁の逆鱗に触れて「禁書」に指定され、ガリレオは「破門」とされます。

その天文対話も、今では英語版なら無料で読めます。良い時代になりました!!

Dialogue Concerning the Two Chief World Systems
by Galileo Galilei (1632)

http://law2.umkc.edu/faculty/projects/ftrials/galileo/dialogue.html

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日本語版は岩波文庫から出ているようですね。(リンク貼りますが、アフィリエイトではありません! (^^;)

天文対話<上>(岩波文庫) – Amazon

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ガリレオの破門が解かれるのはなんと350年以上のちの1992年になってからです。

 

以上、個人的なおすすめですが、まずは漫画で大まかな流れをつかんで、より詳しく知りたくなったら専門書を読むと良いと思います。