アプリが勝手に中国語化されてリリースされていると聞いて調べてみたら、想像以上にやばかった
こんにちは。
中国の人の著作権に対する意識は最近だいぶ改善してきたのかなあと思っていましたが、アプリ業界ではまだまだ課題があるようです。
きっかけはポケットガールの作者、Zabosama@ハルシオン様のこのツイートです。
ポケットガールが中国にパクられました。 元:https://t.co/nfZYzt8P9K 中国パクリ:http://t.co/XDT2upIBw7 ふざけんなー!!!そのまま宣伝させて頂きます。 ポケットガールよろしくね!! 最新バージョンアップデート決定!!
— Zabosama@ハルシオン (@Zabosama) 2015, 8月 5
「そんなあからさまにパクられることあるのかー」などと思い、さっそく中国のほうのサイトを見てみました。すると想像以上に画面はオリジナルにそっくりで、もうパクリというか「中国語版ポケットガール」といったほうが近いような印象でした。
本物 | パクリ(?) |
いくら著作権意識の薄い中国とはいえ、ここまであからさまなパクリはやらないのでは?と思って、何が起こっているのか調べてみました。
調査開始
まずはこの中国のサイトをよく見てみると、
「美少女育成-永恒的錬金術師 中国語化版」「【中国語化】当乐 and 扑家 共同 1st release」などと書かれています。
なるほど、彼らはこれはパクリではなく「中国語版」として公開しているようです。
で、翻訳したのは何者かも堂々と書いてあります。「当乐」とはこのサイトですが「扑家」とは何者でしょうか・・・。
「中国語版」制作元のサイトを発見
「扑家」ぐぐってみると、いろいろなサイトがヒットします。で、以下のサイトが彼らの本拠地のようでした。
いきなり「乖離性ミリオンアーサー」の中国語版のようなトップ画像なので、これが無許可だとは考えられないですが・・・。
で、しばらくトップページを見ていたら、
ポケガ、キターー(無許可)
ここまで堂々とやっているので、自分はこう考えました。
「彼らはボランティアでローカライズを行っている、熱烈な日本のゲームファンなのだ。だからこんなに堂々とできるのだ。」
そう。
メッセージ、画像を、なんらかの方法で差し替えてローカライズして公開するだけなら、広告収入モデルのアプリの場合、元の開発者に広告収入はそのまま入るので、むしろありがたいはず。
広告を確認してみた
百聞は一見にしかずですので、実際にこのサイトからアプリをダウンロードし、自分も Android 端末にインストールしてみました。幸い自分は Android SDK を持っているので “adb install XXX.apk” とやるだけでインストールできます。いわゆる root 取得 などは不要でした。
これで、ゲーム内容だけが中国語化されていて、広告がオリジナルのままでるのなら、彼らは熱烈な日本のゲームファンだと確認できます。
で、起動してみたところ、
うーん、最終的にはハルシオンさんに聞いてみないと確信がもてませんが、この ADVIEW というのは中国系のアドネットワークのようなので、おそらくローカライズだけでなく、広告の差し替えを行っていると思われます。これはまずい。
AdView
http://www.adview.cn
これをやられてしまうと本来オリジナルの作者に入るはずだった収入が丸々持っていかれます。やばい。中国市場をまじめに検討しているアプリ開発者は、容易に apk ファイルをデコードできなくするなどの対策を練った方がよいかもしれません。
なぜこのように大胆にできるのか?
まず以前ブログにも書きましたが、中国には Google Play がありません。ですので、Android ユーザーは、キャリアが提供するアプリストアからアプリをダウンロードするか、もしくは(おそらく)root権限をなんらかの方法で取得し、様々な非公式のサイトからアプリをダウンロードする習慣がついているのが1つの理由のようです。
もう一つは、以前より改善したとはいえ、やはりまだまだ中国の方々は知的所有権を尊重する意識に欠けていることが大きそうです。
特に海外の作品に対しては「良い作品を見つけたらそれを中国国内で広めるのは、見つけた者の権利だ」と思っているように感じます。
以下のページの注意書きに、
「この中国語化は私たちのグループが行った物であり、許可のない盗用は厳禁です」
と書いてあります。
うーん、その前にまず中国語化の許可をとらないと・・・。
まとめ
今回わかったことをまとめると。
- 中国では、海外の開発元に許可なく中国語化してそれを公開することが日常的に行われている。
- 広告の差し替えを行っているので、悪意がある。
- 中国市場を真剣に考えているアプリ開発者は対策したほうがよさそう。
といったところでしょうか。
幸い、ポケットガールのケースの場合、広告収入の一部はハルシオン様のところに入ってきているようで、そんなに悲惨なケースではなさそうです。
バナーは差し替えられてるが、インターステーシャルはそのまま・・ごちっす!w
— Zabosama@ハルシオン (@Zabosama) 2015, 8月 5
中国政府とGoogle が仲直りして、Google がびしっと取り締まってくれると良いのですが・・・。